『血栓症』とは・・・

血管の中で血液が固まってしまう病気を血栓症といいます。血栓が肺動脈に詰まる肺血栓塞栓症では、呼吸困難や胸痛そして心肺停止にまで至る事があります。これまで日本では比較的稀なものでしたが、生活習慣の欧米化などに伴って近年急速に増加してきている病気です。

飛行機のエコノミークラスの乗客によく起こることで広く知られるようになった「エコノミークラス症候群」がまさにこの肺血栓塞栓症です。飛行機の機内で水分をあまり摂らずに長時間じっと座ったままでいると、下肢の静脈に血栓(血の塊)ができて、飛行機から降りて歩き出した時に血栓がとんでいって肺動脈に詰まって呼吸困難に陥るものです。

この血栓症が産婦人科領域でもたいへん問題になっています。以前は妊産婦死亡原因として、出血や妊娠中毒症などが多かったのですが、今や血栓症によるものがその第一位(全体の約20%)となっています。妊婦さんは一般のひとに比べて5倍も血栓症が起こりやすいといわれているのです。また、肺血栓塞栓症の大多数(約75%)は帝王切開術後に発症しています。


産科における血栓症のリスク因子
帝王切開術、35歳以上の高齢出産、肥満(妊娠後期のBMI28以上)、長期間のベッド上安静、抗リン脂質抗体症候群、妊娠中毒症・常位胎盤早期剥離の既往、脱水などによる血液濃縮、著明な下肢静脈瘤、血栓症の家族歴・既往症など。

◆当院における帝王切開術後血栓症の予防対策
(肺血栓塞栓症は一旦発症すると致死率15〜30%なので予防が重要となります)

1.早期離床(できるだけ24時間以内に歩行開始)
2.ベッド上での下肢の運動
(下肢挙上、膝の屈伸、足の背屈運動)
3.脱水予防(十分な輸液)
4.弾性ストッキング
5.間欠的空気マッサージ
6.血栓防止薬剤の投与

 


▲血栓を効果的に予防する間欠的空気マッサージ機